【皇帝の鍼/カラダ編Vol.7 】

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さてつづきです。
前回までのおさらいをすると

Vol.1

・最近、体内にある植物の行方を追っていると腸に目が止まる
・人体の腸と植物の根っこは共通点がいろいろある

Vol.2

・どちらも”土”を相手にしている
・消化器官からすると、胃において理想的な土を作り出すと都合がいい
・その観点でやめておいた方がいいこと

Vol.3

・理想的な体内土の作り方
・発酵と腸内細菌群の関係性…

大まかに行くとこんな感じで流れています。

そして、今回Vol.4では
人類の進化と腸の関係性を読み解いていきます。
はじまりはじまり〜

【”食”こそ人類の進化の根源】

すべての生き物はその進化の過程で
常にエネルギーを得るために費やす長い時間を
どうにかして短縮しようとしてきました。

動物ならウロウロするよりも隠しておく、
人間なら探し回る狩猟から育てる農耕へ。

そして
進化の歴史はその努力とチャレンジの結果である
と言っても言い過ぎではないでしょう。

なぜなら食べたものをどれだけ早く
エネルギーにできる手段を持っているかにより
自分たちの”種”の存続の確率が左右されたからです。

事実、
そんな極限状況下で人類は様々な発明をしてきました。

火、鉄、陶器、蒸気、油、調味料、酒、穀物、発酵、etc…

すべて人類が食べ物からエネルギーを
いち早く取り出し長生きしようとした結果
生み出されたものです。

人類のサバイバルの記憶が封じ込まれている調理法

今、私たちが何気なく目にしている料理法。

切る、煮る、焼く、蒸す、炊く、漬ける、揚げる、〆る…

すべての調理が人類が過酷な環境下でいかに己の命を永らえ
かつ子孫を残すかという願いを元に手にしてきたものです。

そして図らずも自分たちの体内で
内臓が人知れず行なっていることを
再現し先取りしてしまった執念。

人類何億年の歴史の中で私たちの祖先たちが
どのような思いで練り上げ伝えてきたかを考えると

目の前に並ぶ料理の1つ1つが偶然の賜物であり
私には奇跡の結晶であると思えて仕方ありません。

【体内に入るよい”土”を作ろう!】

さて、いろいろ書きましたが
大腸に到達する食事の形としては
胃でドロドロに溶かされて吸収効率の良い形に変化するので
まず胃の段階で理想の形にすることを考えればいいわけです。

例えるなら、
タケノコ林の豊かなふかふかの布団のような
踏んだらタケノコの頭がわかるような土を
イメージしてもらえばわかると思います。

最近の健康ブームで過激な糖質制限や
断食や肉は食べないとか
逆に肉しか食べないなどの極端なものが流行ってます。

しかし”土と腸”の観点で考えていくと
必ずしもそういう結論には至らないと思います。

腸の立場に立つと見える新しい世界

なにもそれらがダメだという気は毛頭ないのですが
最愛の自分の内臓のうち文字通り殿(しんがり)を
担ってくれている小腸や大腸。

その中で日々人知れず働いてくれている微生物たちの姿を
想像して毎日毎回の食事を楽しんでほしいなあと、一鍼灸師として思うわけです。

いかがでしたか?
“腸と土”の観点から考える食養生のお話は
一旦ここで終わりになります。

しかし腸のお話は尽きることはありません。
またいろいろお伝えしますね。

奇想天外にして抱腹絶倒、腹落ち寸前の
皇帝の鍼/東洋医学シリーズ、次回をお楽しみに!

【腸と土編 Vol.4 理想的な体内土の作り方・食と人類、進化の歴史 おわり】

〜了〜