★皇帝の鍼師が教える・鍼の原始の姿 その②★
こんにちは!京都&東京の会員制鍼灸院といえば
中国鍼灸・鍼屋神野/JOHCLの神野洋太です。
【前回のおさらい】
前回「鍼の原始の姿・その①」では
・鍼の原型が刺す事ではなくて
血を出すことを目的としていた事。
・その際に石器を使って血を出していた
この2つを学びました。
そして今回、
血を出すのに必要不可欠な道具である
石器(ハンドアックス/手斧)の進化を通じて
人間の技術革新がどのように
鍼灸に影響を与えてきたかを
歴史の観点からみて行きたいとおもいます。
【はじめは偶然。そこから故意が始まる】
放血治療は前述した通り当初はたまたま皮膚が裂け出血していた事から始まりました。
しかし、人々がそれに気づいてからは
人為的に皮膚をやぶる必要が出てきます。
そこで人間は神に捧げるための獣の肉や皮を裂くために使っていた刃物を自分達に用いるために使い始めます。
そこに人類の進化のカギを握る「道具の変化」を起こすきっかけがありました。
でもギャートルズな時代に使われていた
あの石斧で本当に皮膚が切れたのでしょうか?
疑問が残ります…
それではそこらへんも含め説明して行きましょあ!
【重要な素材の変化】
さて放血治療が行われ始めた
前期旧石器時代(BC230万年〜BC30万年前)から
中期石器時代(30万年〜3万年前)時代が下ると
その石器も剝片石器(割ると鋭利な破片となる)の黒曜石を使用するようになりました。
この黒曜石は鋭利な刃物になる性質を利用して
剣・手斧・のみ・矢じり・槍の穂先など
色々な道具として使用されました。
最新の研究ではこの黒曜石の移動ルートは原産地であるカスピ海と地中海の真ん中であるアルメニアのアルテニ山を中心に北は現在のウクライナ、西は2500キロ離れたエーゲ海でも見つかっています。
そしてそのルートはそれ以降の古代ギリシャ時代やローマ帝国などの貿易大国が使っていた物流ルートと重なり、その一部はかの有名なシルクロードとも一致するという研究結果まであるほどです。
【やるな、ネアンデルタール人】
しかもその原産地であるアルテニ山の麓で
黒曜石器の加工作成に当たったのは
一帯に現れた初期ネアンデルタール人(35万年前)
であることまでわかっています。
歴史の表舞台では黒曜石に代表される剝片石器は主に…
・剣
・鏃(やじり)
・槍の穂先
などの武器として使用されていますが
動物や人を傷つける武器としての「陽」の使い方があれば
その裏の「陰」の使い方があるのは当然です。
それは「傷つける」ことの反対ですから
「治す」ことのためにも使っていたと
考えるのは至極自然な流れですね。
そして狩りの時に負った内出血を破る時に
黒曜石のメスが使われたと考えるのも
想像に難くありません。
【まず”切る”。そして”刺す”へ。】
そう、鍼の原始の姿は「刺す」のではなく
「切る」ことから始まったのです。
原始的な石器を使って皮膚をやぶることから始まり
そこから素材を
黒曜石
↓
動物の骨や角を研磨したもの
↓
木製
↓
青銅・銅や鉄の金属製になり
↓
古代九鍼(古代の9種類の鍼)
↓
金・銀・銅
↓
ステンレス
…というステップで今日の姿に近づきました。
そしてその姿を「切る」ものから
「入れる」ものに進化させていったのです。
【ちょっと自慢(笑)】
中国鍼灸・鍼屋神野/JOHCLの皇帝の鍼®︎は
このような表には出てこない誰も知らない
中華4,000年の芸術品である鍼の
「歴史」や「成り立ち」「魂」の部分まで
意識して一本一本提供しています。
ぜひ鍼を受けるときはその部分を
意識しながら施術を受けてみてください。
きっと鍼の効果と意義が深まること請け合いですよ。
【皇帝の鍼/施術編vol.11】
★皇帝の鍼師が教える・鍼の原始の姿 その②★
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〜おわり〜